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東京地方裁判所 昭和48年(特わ)220号 判決 1973年5月31日

被告人

1

本店所在地 東京都世田谷区若林三丁目二九番九号

株式会社 廣栄社

(右代表者代表取締役廣橋司郎)

2

本店所在地 東京都世田谷区若林三丁目二九番九号

株式会社 広和

(右代表者代表取締役廣橋司郎)

3

本籍 東京都世田谷区三軒茶屋二丁目二三六番地

住居

東京都世田谷区中町五丁目一三番八号

職業

会社役員

廣橋司郎

昭和五年八月八日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

丸山利明

主文

1  被告人株式会社廣栄社を罰金一、八〇〇万円に

被告人株式会社広和を罰金一二〇万円に

被告人廣橋司郎を徴役八月に

それぞれ処する。

2  被告人廣橋司郎に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人株式会社廣栄社(資本金一、二五〇万円)および同株式会社広和(資本金五〇〇万円)は、いずれも東京都世田谷区若林三丁目二九番九号に本店を置き、各種建築物の設計および施工、店舗内装の企画、設計および施工等を目的とする株式会社であり、被告人廣橋司郎は右各被告人会社の代表取締役として各会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人廣橋は、

第一、被告人株式会社廣栄社の業務に関し、法人税を免れようとくわだて、工事収入の一部を除外し、架空経費を計上して簿外預金を蓄積する等して所得を秘匿したうえ、

一、昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が一三七、四〇三、八三四円あったのにかかわらず、昭和四五年二月二八日、東京都世田谷区若林四丁目二二番一四号所在の所轄世田谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四四、四一六、七五一円で、これに対する法人税額が一四、七九四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出する不正の行為により、同被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四七、三三九、七〇〇円と右申告税額との差額三二、五四五、五〇〇円を免れ(別紙一、五)

二、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事原年度における同被告人会社の実際所得金額が八二、二一七、二七九円あったのにかかわらず、昭和四六年三月一日、前記所轄世田谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五二、三五一、九六六円で、これに対する法人税額が一七、九八二、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出する不正の行為により、同被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二八、九五八、四〇〇円と右申告税額との差額一〇、九七五、八〇〇円を免れ(別紙二、五)

三、昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が一四〇、五〇四、九〇〇円あったのにかかわらず、昭和四七年二月二九日、前記所轄世田谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五〇、八五五、五二四円で、これに対する法人税額が一六、四五三、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出する不正の行為により、同被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四九、三九九、二〇〇円と右申告税額との差額三二、九四六、〇〇〇円を免れ(別紙三、五)

第二、被告人株式会社広和の業務に関し、法人税を免れようとくわだて、工事収入の一部を除外し、架空経費を計上する等して所得を秘匿したうえ、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得額が二〇、四〇七、五四一円あったのにかかわらず、昭和四六年三月一日、所轄の前記世田谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、三五七、三四四円で、これに対する法人税額が一、八九七、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出する不正の行為により、同被告人会社の右事業年度における正規の法人税額七、〇二九、七〇〇円と右申告税額との差額五、一三二、五〇〇円を免れ(別紙四、六)

たものである。

(証拠の標目)(甲、乙は検察官の証拠請求の符号、押は当庁昭和四八年押七二三号のうちの符号を示す。かっこ内は立証事項で数字の別紙の各勘定科目の番号である。)

一、被告人の当公判廷における供述(全般)

一、被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書および被告人の検察官に対する各供述調書(乙1ないし21)(全般)

一、登記官作成の登記簿謄本および閉鎖登記簿抄本(甲一1、2)(第一の事実全般)

一、登記官作成の登記簿謄本および東京法務局渋谷出張所長作成の捜査関係事項照会に対する回答書(甲一34)(第二の事実全般)

一、堀田秀磨の検察官に対する各供述調書(甲一17、18)(全般)

一、吉田泰蔵、入江誠一、永山淑子の検察官に対する各供述調書(甲一8ないし10、2021)(第一の事実全般)

一、吉田泰蔵に対する大蔵事務官の質問てん末書(甲一6)(二の16)

一、永山淑子の作成次の上申告

1 架空給料の計上について(甲一54)(一の636、二の536、三の534)

2 簿外給料の支出について(甲一63)(一の6、二の5、三の5)

3 架空外注費の計上による支払い手数料の支払いについて(甲一70)(一の30、二の27、三の26)

4 広和勘定について(甲一74)(四の26)

5 簿外給料の支出について(甲一84)(四の5)

一、大石克人作成の上申書(甲一64)(四の30)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 売上除外調査書(甲一158)(一の1、二の1)

2 架空外注費調査書(甲一159)(一の2、二の2、三の2)

3 受取配当額調査書(甲一160)(一の32、二の31、三の29)

4 預金利息調査書(大和/世田谷)(甲一161)(一の31、二の30、三の28)

5 金銭信託収益金調査書(大和/世田谷)(甲一162)(二の30、三の28)

6 指定金銭信託収益金調査書(大和/世田谷)(甲一163)(二の30、三の28)

7 金銭信託収益金調査書(大和/吉祥寺)(甲一164)(三の28)

8 預金利息調査書(大和/新宿)(甲一165)(二の30)

9 右 同(大和/北沢)(甲一166)(二の30)

10 右 同(第一勧銀/世田谷)(甲一167)(二の30、三の28)

11 右 同(八千代信金/南池袋)(甲一168)(一の31、二の30)

12 給付補てん備金利息調査書(甲一169)(三の28)

13 預金利息調査書(世田信本店)(甲一170)(二の30、三の28)

14 右 同(第一勧銀/渋谷)(甲一171)(二の30、三の28)

15 株式売買損益総括表(甲一172)(二の36、三の34)

16 貸付金受取利息調査書(甲一173)(二の30、三の28)

17 手形割引利息収入調査書(甲一174)(二の30)

18 支払利息調査書(甲一175)(一の34、二の34)

19 預金、信託残高および預金利息、信託収益金集計表(甲一176)(一の31、二の30、三28)

20 交際費限度計算調査書(甲一188)(二の16、三の13)

21 売上除外調査書(甲一189)(四の1)

22 架空外注費調査書(甲一190)(四の2)

23 株式会社広栄社よりの受取利息について(甲一191)(四の26)

24 法人税額計算書(甲一192)(二の162425)

25 右 同(甲一193)(三の23)

26 右 同(甲一194)(三の20)

一、押収してある次の証拠物

1 総勘定元帳三綴(押一ないし三)(第一の事実全般)

2 法人税決定決議書一綴(押一九)(第一の事実全般)

3 右 同一綴(押二〇)(第二の事実全般)

(法令の適用)

1  各被告人会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、被告人株式会社廣栄社につき刑法四五条前段、四八条二項。

2  被告人廣橋につき法人税法一五九条(いずれも徴役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の三の罪の刑に加重)。同法二五条一項(主文2)。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙 一 修正損益計算書

株式会社廣栄社

自昭和44年1月1日

至昭和44年12月31日

<省略>

<省略>

別紙 二 修正損益計算書

株式会社廣栄社

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

<省略>

<省略>

別紙 三 修正損益計算書

株式会社廣栄社

自昭和46年1月1日

至昭和46年12月31日

<省略>

<省略>

別紙 四 修正損益計算書

株式会社広和

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

<省略>

<省略>

別紙 五 税額計算書

株式会社廣栄社

<省略>

別紙 六 税額計算書

株式会社広和

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

事業年度

<省略>

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